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焼 岳(2455M) 10月3日(月) 晴  つかさん
「焼岳」・・・この山名を耳にするたびに去年の悲劇(喜劇?)が思い出されてしまう。忘れもしない去年の9月14日、天気予報を信じて向ったが・・雨で1歩も登る事すらできずに撤退!帰りに焼クソで勝山市の低山へ登り・・「500Kも走って大師山へ行ったおバカなコンビ!」と笑われてしまった。今年リベンジする事を固く誓い合い、あれから早いものでもう1年が経ってしまった。もうみんなの記憶にはないと思っていたが、7月に行ったkyuさんのレポにトドメを刺すかのようにしっかり書かれていた。(--;) あの気品高く美しい方にまでレポのネタにされるなんて・・私はショックを隠せなかった(笑) 私達に失敗は二度と許されない!万が一失敗して例えバンビーライン(勝山市の低山)になったとしても、けっして誰にも言わないでおこう!と、またも固く心に誓った二人だった(爆) 


つかさんとはめったに休みが合わないため、数ヶ月前から今日の日という予定を立てていた。そんな思いをまったく知らない天気予報は、日が近付くにしたがって「雨模様」と冷酷に告げ、2〜3日前には私達はすっかり諦めていた。前日の午前中に中止する事を確認し、私は若狭の低山を登る事に決めていた。・・・ところが!?・・ところが!?である。夜になってつかさんから連絡が入り、明日の予報をもう一度確認してくれないか?という事だった。つかさんはPCが壊れたため細かい情報が分からないらしい。早速ネットで詳しく調べてみると?・・なんと!明日だけ晴になっている。一気にテンションが上ってくる。その事を話すとつかさんも同じくテンションが上る(笑)・・「行きまっか!?」 呆れた顔の相方を横目に早速準備に取り掛かったのであった。。。(^^ゞ 2時半に越前市内(旧武生市)で待ち合わせ、今回はつかさんの車で一路穂高へ向う。夜空には幸運の女神のように星が微笑んでいる。福井市〜大野市〜九頭竜とR158を走り、白鳥から東海北陸道で清見IC、高山市内を抜け、安房トンネルを抜けて安房峠の10号カーブの空地に6時20分に到着した。
空地には1台の車しか停まっていない。気温は7度と寒いが、空には予報通り青空が広がっている。期待十分である。去年は登山靴を履く事すらできなかったのだから、それに比べればこの先どうなろうとマシには違いない(笑) 準備をして行こうとすると、多摩ナンバーのマイクロバスが上ってきた。ゲゲゲェー!○の美女?美男?軍団である。・・・「はは早く行きまひょ!」(^_^;)
緩やかな道からだんだん急坂になってくる。倒木ありの岩ありのなかなか楽しませてくれる道だ。(^_^;) 靴のソールを張り替えて初めての山である。予備の布製の靴に慣れかけたせいか、爪先付近が窮屈で気になる。昨日は雨が降ったのだろうか?道はぬかるんでいる箇所が多く、ズボンの裾が汚れる。「山は汚れるもの!」これはつかさんの口癖だが、醜い紳士の私としてはちと気になる。(^^ゞ 朝日が射し込む林内、陰とのコントラストが見事である。空を見上げると青空!不満は少しあるものの気分は最高である。花は全然ない。こうなればありふれた花でもいいのだが・・ほんとに見事に一輪もない。「リンドウ平に行けばあるでしょ!?何たってリンドウって使うぐらいだから」つかさんの言葉を信じて歩く。ベンチのとこで小休憩をしていると、3人の若者が抜いていく。
道が緩やかになると・・突如として木立の間から見える焼岳!こういうパターンは大好きである(笑) 青空で山頂がすっきり見える。「おおぉー!いいじゃん!いいじゃん!」ちょっと興奮気味で血圧も上る。(^^ゞ ナナカマドがすっかり色付いてキレイだ。
少し広くなったリンドウ平に着く。ここからの焼岳の姿も素晴らしい。紅葉にはやはり少し早い(今年が遅い)ナナカマドの赤は目立つが、他は薄っすらと色付き始めた程度だ。もう10日ぐらい後がいいかもしれない。おっと!あんまり贅沢ばかり言ってたらバチが当る。慎ましく慎ましくいきましょう(笑) 先程の3人の若者がここで朝食を食べていた。何でも最初1泊で槍ヶ岳へ登るつもりだったが、明日の天気が悪いので焼岳の日帰りにしたと言う。最高の日和になったので彼らも笑顔が絶えない。
もう一踏ん張りだ。北峰と南峰の鞍部に向って急坂を登っていく。北峰の下から噴出す白いガスの煙がだんだん大きくなってくる。微かに硫黄の臭いもしてくる。振り返ると霞んではいるが、南アルプスの山々や・・すぐ右には霞沢岳の勇ましい姿が浮かび上がってくるように見えてくる。何度も何度も立ち止って写真を撮る。道脇にはヤマハハコの花が見え始めてくる。シロタマノキの実も多く生っている。
シロタマノキの実
景色を見ながら・・写真を撮りながらのまったり歩きになってしまったが、ようやく鞍部に着く。目の下には神秘的な気さえする火口の池。すぐ左には立ち入り禁止になっている南峰。すぐ右にはガスが噴出している北峰。正面の岩の間からは笠ヶ岳が見える。風が少し強くじっとしていると寒い。先程の若者達も到着する。素晴らしい景色に歓喜の声が上る。北峰の下を捲いて山頂へと向う。私はガスの噴出口の近くまで攀じ登ってみる。「シュー」という気持ち悪い音を立ててガスが吹き出ている。(別にここでそんな事をしなくても、裏側の道脇にも噴出口があった(^^ゞ)
9時50分、とうとう去年のリベンジを果す!(笑) 息を呑む360度の雄大な大展望が待っていてくれた。目の前には勇大勇美な穂高連峰。右下には上高地や銀色に光る梓川。逆光だが振り返ると南アルプスなどの山々や乗鞍岳。左遠く微かに白山が見える。何時までも見ていても飽きない展望である。つかさんがポツリと・・「今日来て本当に良かった。もし、後から人から聞いたりしたら絶対後悔していたな」確かにその通りだ。昨夜、つかさんがもし連絡をくれなかったら・・私は今頃若狭の低山で蜂なんかと格闘していた事だろう(笑) 感謝である。風が少し強く寒いので、少し下った道脇の岩陰で昼食とする。食べていると、どんどん人が登ってきて山頂は一気に賑やかになる。登山口にマイクロバスで乗り付けた軍団も上ってきた(笑) 若いカップルもかなり多い。写真を撮って欲しそうな雰囲気がありありなので、積極的に声をかけて撮ってあげる(笑) 皆さんの大満足の様子を見ているのもいいものだ。何時までもここにいたい衝動にかられたが、扶養家族をまだ背負っている私はそういうわけにもいかず・・シブシブ下山する事にした。(^^ゞ
笠ヶ岳
上高地 大天井岳方面
穂高連峰
遠く微かに白山が!
双六岳などの方面
乗鞍岳など
この天気!せっかくなので上高地へ下りる事にする。つかさんはまだ上高地へ行った事がないと言う。正面に穂高を見ながら北側の急斜面を下る。登りには使いたくない程の急な道だ。(^^ゞ 所々からガスが出ている。 
中尾コースの分枝(中尾峠)から少し上り返して焼岳展望台に着く。こちら側から見る焼岳は、よりいっそうの荒々しさを見せつけている。少しまた下ると、樹林の中にひっそりと佇む小さな焼岳小屋。ここで小休憩し、つかさんはバッヂを購入。上高地の下山口からの交通手段の事を聞くと、親切にタクシー会社の名刺をくれる。
小屋から上高地へと下る。標高差は500Mぐらいだが、標準コースタイムは2時間?かなりくせものの道のようだ(笑) 右に焼岳を見ながらジグザグの斜面を下ると、何箇所ものハシゴ場が現れる。ホームセンターで売っているようなアルミのハシゴを繋ぎ合わせたものではちと不安が過る(笑) 目の前には勇ましい霞沢岳。上りも下りもこの山を見ながらの歩きだ。だいぶ下った所で何人かの外人の方々を見かけるようになるが、森林ウオッチングしているようだ。
下るにつれてだんだんと暑くなってくる。あと100Mぐらいの標高差になった辺りからの森林は、大木などがあっていい雰囲気なのだがダラダラとした道がかなり長い。まだか?まだか?と続くのである。(^_^;)
散々飽きてきた頃・・やっと下山口の作業道に出る。田代橋までまだ800Mある。ヤレヤレだ。(^^ゞ 田代橋まで来ると、散策している大勢の観光客で賑っている。今までの静けさが幻のようだ(笑) 若いオネーチャン達の中をトボトボと歩く・・汚らしいオッサン二人!(^_^;) 橋から見える穂高が慰めてくれているようだった(笑) さて、安房峠まで帰るタクシーを捕まえなければならない。帝国ホテル前まで出てみると、観光バスなどで道は大渋滞。ターミナル方面へ向う渋滞で止まっている空車のタクシーに声をかけると、行先を聞いてから「予約があるから」と断るというみえみえの応対に腹が立つ。安房峠まで3500円ぐらいかかるので、これが他の地域のタクシーなら大喜びするはずだがここでは?・・ゴミかカスなのであろう(苦笑) もたもたしていると時間ばかり過ぎてしまうので、先程もらった名刺のタクシー会社に電話をしてみる。「ちょっと聞いてみますわ」と言って切れたものの・・すぐ来てくれるのか?待たされるのか?がよく分からなかった。f(^-^; そんな不安もあったが、5分ぐらいでターミナル方面から来てくれて助かった。その運転手さんも山好きで穂高へはよく登るそうだ。いろいろな話や情報を聞かせていただいて、僅かな時間ではあったが楽しい一時を過させていただいた。  
これでやっと去年のリベンジを完璧に果す事ができた。これもすべてつかさんのおかげ!と言っても過言ではない。昨夜の1本の電話がなかったらここには絶対来ていなかった。感謝である。また、道中何人かの山友からもメールをいただき、気遣っていただいてこれまた感謝である。みなさんのおかげで最高の日になった。・・・悲劇を期待していたのかもしれないが。。(大爆)
<休憩を含む行程時間>
安房峠登山口(6時35分) → リンドウ平(8時15分) → 鞍部(9時25分) → 北峰山頂(9時55分〜10時45分)
→ 焼岳展望台(11時30分) → 焼岳小屋(11時40分) → 上高地側登山口(1時15分)

<所在地>
長野県松本市安曇  MAP