野坂岳(913.5M) 7月31日(火) 晴  単独
長く続いた梅雨空もようやく終止符を打ったようだ(今日が梅雨明け宣言) 朝から真っ青な空が広がり太陽が燦々と輝いている。こんな天気を見るのは久しぶりだ。今の時期、こんな天気なら行きたい所がいっぱいあるのだが、残念ながら午前中にまた野暮用が入っている。長年続いたあまり自由が利かない夏のこの時期も、ようやく今年で終る(たぶん) 午後から家でくすぶっているのは勿体無い。かといって、その時間から登れる山は限られてしまう。そんな事をいろいろ考えると、やはり行くのは展望のいい好きな野坂岳になってしまうんだな。(^^ゞ 夏の低山は暑いが、耐暑訓練だと思えば少しは気分的に救われるような気がする(苦笑)
登山口の駐車場 青々とした沢沿いの道
午後12時半過ぎに家を出て登山口へ向う。前回から約1ヶ月しか経っていないのだが、高速道路の建設中で来る度に道中の景観が変わってしまっている。複雑な心境。夏休みに入っているので、普段静かなキャンプ場にも人の姿が見える。登山口に着くと、こんな時間なのに7〜8台の車が停まっている。この青空に誘われたのだろう。今日は山をやめた同僚から譲ってもらった登山靴を履く。シリオのいい靴なのだが、悲しいかな幅広でワンサイズ大きいのである。靴とは最良のパートナーでなければ辛い。夫婦と一緒?・・臭い関係?(苦笑) 山の店で一番厚い靴下を買い、インソールも換えたりして試行錯誤しているのだが、まだ左前指が極僅か横に滑る。半日程度の山なら問題ないが、少しハードな山になると辛いだろう。何か他にいい方法がないものだろうか?指だけ太らす方法とか? 準備をして出発。一番暑い時間なのだが、湿度が低いせいもあるのか思ったより感じない。面白くない林道?から登山道へと変わる。野坂岳ひとり旅さんから現在の情報を仕入れさせてもらっているが、もうこの時期は花はほとんどない。アジサイの残り花や十薬、ニガナ、カタバミ、ミゾホオズキなどの黄系が少し咲いている程度だ。緑の草木が夏の光を照り返す。早くも汗をかくが、時折すぅ〜と流れてくる沢からの冷気が気持ちいい。
トチの木地蔵
トチの木地蔵に着き、冷たくて美味しい水を頂く。ふと初めて思ったのだが、ここの水量はいつでも大きな変化がないように思う。間違ってイワタバコでも咲いていないだろうかと奥を覗き込んでみるが・・やっぱりメチャ甘いよな。まあ、何かネタが欲しい気持ちでいっぱいなわけ。(^^ゞ 水筒に水を詰めてすぐ後にする。 
敦賀市街の展望
懲りずに左右を注意しながら登って行く。九十九折の開けた場所からの展望が素晴らしい。青い空に青い海、何度見てもいい景色だ。沢から離れて風が全然なくなってしまい、暑さが体中に充満してくる。上から見覚えのある方が下りて来る。地元の方で名前まで知らないが、今まで何度か話した事がある御婦人だ。向こうも気付いたようで、立ち止まり話かけてくる。

「アンタさー!若いからってあんまり無理したらアカンよ!((”;)えっ?そんなに若くないし、全然無理もしてないけど?)私の知人なんかさ〜 若い時にバレェリーナーをやってたんだけど、相当無理して練習をやってたからさ。60過ぎてから後遺症が出てきて両足の半月板を手術したんだけど、普通に歩けなくなってしまったんだ。私も若い頃、田畑仕事を手伝わされて米1俵なんか無理して担いだりしたんだけど、この年になって坐骨神経痛に悩まされているんだ。若い頃に無理をすると必ず後から出るよ。さっきタイツ姿の若人に会ったでしょ!走って上り下りして2往復目だってさ。40分少々で上るらしいけど、無理するな!って私言ってやったのよ。(私はただ頷いてるだけ(^_^;)今日は久しぶりの天気だから、父ちゃんが山登りに行け!って言うんだよ。一緒にいると鬱陶しくてケンカばかりだからさ。その方がお互いにいいんだ。父ちゃんなんか何もせずに家でゴロゴロ。ちょうど今テレビで高校野球をやってるから、一日中そればかり見てるわ。運動せんから腹は出てくるし、本当に困ったもんだ・・・」 

こういう話が長々と続くわけである。(^_^;) 一言こちらがしゃべると、それについてまた1分長くなる。一方的に10分近くは付き合わされただろう。これも確かに地元の山の良さではあるが。。(苦笑)
草に覆われた行者岩 一ノ岳展望所
行者岩もすっかり緑の草木に覆われ、存在感が薄くなってしまっている。一ノ岳の展望所に着き、しばし休憩して展望を楽しむ。今日はつかさんが白山に登っているらしいのだが、残念ながら薄い雲がかかっていて見えない。「おーい!」と叫んでみようと思ったが、青春ドラマでもあるまいし馬鹿らしいので止める(苦笑) この付近に多いウツボグサも、すでにほとんどが花を落としてしまっている。
展望所から少し上り、一ノ岳と二ノ岳の鞍部へと進む。二ノ岳や三ノ岳が唯一望める場所で、山頂付近の状態が想像できる。今日は雲一つない青空で完璧だ。。鞍部からは上りはあるもののブナ林などの中を歩いて行く快適な道だ。一ノ岳の展望所まではほとんど風がなくて暑かったが、稜線に出ると涼しい風がそよいでいる。
美しい木漏れ日を浴びながら二ノ岳〜三ノ岳へと進むが、歩くのがとても楽しくなってくる。今まで飽きる程歩いている道だが毎回々新鮮な感じを与えてくれる。歩いていて楽しい!・・どんな山でもこうした気持ちが持てたら幸せである。両道脇のササの中や奥を注意しながら歩く。実は・・まだしつこく花を探しているのだ。(^^ゞ 山頂手前にガマズミ属の赤い実がたわわに生っている。空の青との対比が美しくついつい何度もカメラを向けてしまう。すぐ前の木の中でガサガサと大きな音がして心臓が止まりそうになったが、一匹の薄茶色の野ウサギが山頂方面へ走って行った。ふぅ〜 (^_^;)
誰もいない静かな山頂に着く。水平線には薄い雲がかかっているが、湿度が低いせいかなかなかの展望である。東には越美の山々、西は野坂山地や若丹山地、若狭湾に突き出した小さな半島の数々、遠く奥には丹後半島が墨絵のように見える。南はしっかりと琵琶湖が見え、伊吹や鈴鹿、比良の山並み。北は青く濃い海原が広がり、西方やホノケ、日野山などがよく見える。残念ながらその奥の奥越の山だけがよく見えない。当然白山もだ。涼しい風が吹き虫もいなくて快適で、ビールを飲みながら至福の一時を過ごす。
敦賀市街(白山は見えなかった)
若狭湾・・
琵琶湖がよく見える・・
伊吹山・・
奥に比良が・・
西方ヶ岳・・
午後3時を回り、陽も西に傾いてきたので下山する。今日の夕焼けも素晴らしいだろう。今度は夕焼けを見に登るのも悪くないな!など思い、すっかり柔らかくなった陽射しの中を歩く。稜線から西側はすでに陰になって暗くなり始めている。行きの時の暑さがウソのように涼しくとても快適だった。
<休憩を含む行程時間>
登山口(12時55分) → トチの木地蔵(13時20分) → 一ノ岳(14時00分)
→ 山頂(14時50分〜15時20分) → 登山口(16時25分)

<所在地>
福井県敦賀市  MAP
ミゾホオズキ





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