三国山〜野坂岳  平成24年10月26日(金) 晴れ時々曇  みれさん
山を始めた頃、野坂岳の避難小屋で、三国山から縦走して来たという人達に会った。人見知りをするのであまり話はできなかったが、5時間かかったという言葉だけははっきりと覚えている。その時初心者だった私は別世界の話だと思って気にも止めなかったのだが、年月が経つに連れてだんだんとそれが気になってきた。地元の山なので、知っておきたいという気持ちが強い。それで今年は行こうと思っていた矢先に土砂崩れで黒河林道が通行止。開通を待ち、前からその話をしてたみれ殿を誘って行く事にした。

6時15分に野坂岳の登山口の駐車場で待ち合わせるが、みれ殿が「寝坊した!」で15分の遅刻。しかし私にすれば、このぐらいは想定内。おかげで学習能力はかなり鍛えられている。みれ殿の車をここにデポし、私の車で黒河峠へ向う。うんざりするほど長い林道は、かなり綺麗に整備されていた。

静かな黒河峠に到着。木によっては薄っすらと紅葉が始まっている。準備をするが、まず車の鍵を持ってくれたかを確認。おかしな話かもしれないが、車をデポをする場合は自然とその言葉が出てしまうようになった。もしデポした車の鍵がなかったら?・・経験した事がない人は分からないかもしれないが、絶対に笑えない。暫く言葉を忘れてしまうよ。これはけっして嫌味じゃなく、迷走を含めてこうした危険回避能力を自然と鍛えてくれたのも優しい山友さんのおかげだと、私は感謝をしている。つまり、常に前向きに思う事ができるようになったのです。(^^ゞ

高島トレイルの一部にもなっている馴染みの登山道へと入る。空は青空が広がり、少し寒いが清々しくて気持ちがいい。みれ殿はランニングで膝を少し痛めているらしいが、私にすればそのぐらいのハンディがあってくれた方がありがたい。
(^^ゞ



寒くても、陽射しが当たるとさずがに汗ばんでくる。展望の良い所からは、逆光だが琵琶湖も望める。

三国湿原に来ると、モウセンゴケや化石になったキンコウカも僅かに見られた。
(右上の写真にマウスを置くと、同じ場所の昔の写真が見れるよ。半分命がけだけど、、f(^_^; )



紅葉にはまだ早いと思ったが、斜面はけっこう染まっているのに驚く。ラッキーだ。

分岐から三国山山頂に向う。木は細いがブナ林が綺麗だ。



三国山山頂に到着。相変わらず見晴らしは良くない。少し休憩をして、いよいよ未踏の地へと入って行く。何だかわくわくする。山頂の北側に少し切り開きがあり、テープも付けられている。

一歩入ると、そこにはまた素晴らしいブナ林が広がっていた。みれ殿がさっそくナメコを見つけて採る。早いのであまり期待はしてなかったのだが、幸先調子がいいようだ。これから誰かさんの目の輝きが変わる。



テープと踏み跡を辿って稜線を少し行くと、狭いながらも展望地があった。振り返って見る三国山は、けっこう紅葉している。

さらに進むと、またもや綺麗なブナ林となる。薄っすらと紅葉し始めており、これもなかなかいいものだ。しかし、三国山にこれだけのブナ林があるとは知らなかった。驚きの連続である。



送電線が横切っており、二本の鉄塔を越える。岩があれば、とにかく上りたくなる人がいる。(^ ^;



二本目の鉄塔からは、階段状の巡視路が折戸谷の方へと続いている。稜線上は道はなく激藪だが、少し美浜町側を探ると奥に踏み跡があった。踏み跡はすぐに古道のような道になる。



みれ殿がしゃがんでいる時は、なぜか大抵キノコを撮っている。こうした変わったキノコに目が止まるが、期待させた肝心のナメコがない。正確に言うと、それらしき物はある事にはあるのだが、詳しくないので100パーセントの確信がないと採りたくても採れないのだ。(^^ゞ



U字に掘れた古道は、深い所では2メートルぐらいある。しかし、ここにもこんな立派な古道があるとは知らなかった。すぐ近くに粟柄峠の古道があり、さらに先の大谷山付近にも古道が残っている。その先は近江坂。つまり、昔はこの付近には何本もの県境越えの道があったという事になる。もしかすると、鯖も運んだかもしれない。f(^_^;

九十九折りの古道を辿り、最低鞍部まで一気に標高を下げる。



最低鞍部に下りる。折戸谷峠と書かれたものもあるが、その名は定かではない。地形図を見ると、美浜側からは折戸谷林道が、敦賀側からは黒河林道の支線がすぐ近くまで延びてきているのが分かる。古道は折戸谷方面へと下っている。折戸谷では工事をしているのか、重機の音が聞こえてくる。

少し休憩した後、P661まで急な上り返しが始まる。テープはある事にはあるのだが、道と呼べるようなものではない。上り易い所を探して適当に進んで行く。



P661に着くと、その先は静かな美しい空間が広がっていた。緩やかな広々とした尾根に連立するブナの巨木。下草のないすっきりとした土壌と、まるで異次元の世界に迷い込んだようで素晴らしい。この付近にはブナ林が綺麗な山はけっこうあるが、ここはまた独特の雰囲気がある。大げさだが、秘境のオアシスのよう。これは全く想像外で、嬉しくなってしまった。



「まるで森の妖精になったみたい!」(゚_゚;)
「いいよいいよ、何でも好きな事言って!ただし、ここでだけね!」
(^ ^;



テープ類はないが境界石や杭などが繁栄にあり、それを目安に進んで行く。が、方向を迷う箇所もあるので、それなりの準備は必要だ。上りが続くが、緩やかなので歩き易い。標高800メートル付近に来ると、やはり嬉しい事に紅葉が始まっていた。



尾根が狭くなり、やがて芦谷山山頂に着く。ただ山頂らしくはなく、書いてないと通り過ぎてしまいそうだ。昼近くなので、ここで昼食。じっとしていると寒いぐらいだった。



これから向う野坂岳は高く、まだ遠くに感じてしまう(写真はズーム) そしてこの角度から初めて見る山容は、なかなか格好がいい。

芦谷山からはテープが繁栄にあるが、道は少し藪っぽくなる。



気持ち悪いぐらいキノコは多いが、やはりナメコはない。まだ少し早いのだろうか。でもみれ殿は、一食分ぐらいはあるので喜んでいる。(ザックの後ろにぶら下げてある袋)

茶屋谷山を通過するが、ここは三角点以外には何もないので、注意をしていないと気付かないだろう。



やがてまたブナ林が広がってくると、山コースとの分岐に着く。

ここからは知られている一般のコース。こちらのブナ林も定評があるが、先程のブナ林を見た後では感動が少ないのが残念。



さすがに最後の急坂は堪える。みれ殿は、とうとう火が点いたようでスピードアップ!
(^ ^;



ようやく野坂岳の山頂に着く。休憩や昼食、散策時間などが含まれているが、黒河峠から6時間20分かかった。

昼を遥かに過ぎているので、山頂にはもう誰もいない。歩いて来たコースを振り返ると、連なる山並の一番奥に三国山が少し見えていた。ちと感動♪



少し休憩をして下山。久しぶりに午後から歩く定番の道。陽射しがいつもと逆で、そして柔らかい。同じ標高でも、ここのブナ林は紅葉にはまだ少し早かった。


こうして驚きと感動を与えてくれた静かな山旅を終えて、心は満足感と充実感に満ち溢れていた。それは同じ地元の
みれ殿も、きっと同じだったと思う。感謝♪
 
 
休憩を含む行程時間
 
黒河峠(7時30分) → 三国山(8時25分) → 鉄塔(9時05分) → 最低鞍部(9時40分) → P661(10時15分)
 → 芦谷山(11時30分〜12時05分) → 茶屋谷山(12時50分) → 山コース分岐(13時05分) → 野坂岳(13時45分)
 → 下山口(15時20分)


 
所在地
 
福井県敦賀市山  MAP  GPS軌跡
 





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