HOME
赤兔山(1628.7M) 6月13日(水) 晴  みれさん
〔鳩ヶ湯コース〕
鳩ヶ湯から赤兔山へ登るコースは、以前に山友の中で話題になった時から気になっていたが、なかなか機会に恵まれなかった。「見事なブナ林、他では味わえない静かなコース・・」この言葉が頭の片隅にいつもあった。ただ、このコースは長い上に、たんどう谷本流を渡渉するという難題があった。水量の少ない時は石伝いに渡れるが、酷い時は腰までの深さになるという。上は赤兔山の山頂へと突き抜ける広い谷なので当然だろう。それと、赤兔山へは手軽な小原林道から登る人がほとんど。だからこのコースの最近の情報が掴めないのである。そのような不安も少しあった。晴天の日が二日続き、私が休みの三日目もギリギリ晴の予報。残雪ももうないのが分かった。みれさんが仕事を休めるというので、どこかへ行こうかという話になった。控え目にこのコースの事を話したところ、みれさんも前から気になっていたいう。決まりだ!

早朝4時半に敦賀インターで待ち合わせる。こんな時間に出るのは久しぶりだ。空はすっかり明るくなってきている。天気は予報通り良さそうだ。車に乗り込んだみれさんが、いつものように真剣に化粧を始める。「私はスッピン姿は人には絶対見せんからね!」「もしもし!私も一応人なんやけど・・」「あっ、そうなん!?」 (--;)
おーちゃんに入国許可をもらい(笑)R158から上小池線に入る。さすがに空気がひんやりとしてくる。鳩ヶ湯鉱泉を4〜5百メートル過ぎた左手に鎖の張った林道があり、ここから登る事にする。車は道脇が広くなっているので楽に停められる。鉱泉の横から鉄の階段を上る道もあるのだが、車を停めるのにいろいろと面倒である。どうせ道はすぐ合流する。7時前に着き、準備をして出発だ。登山口にはヘビイチゴが赤い実を付けていてキレイだ。
初めは緩やかな道を進む。最初のカーブで鉱泉からの道と合流、ヘアピンを描きながらだんだんと急になってくる。たんどう谷を流れる水の音が大きく響いている。陽の当らない林道は涼しくて気持ちがいい。フタリシズカがひっそりと咲いている。「鳩ヶ湯まで1.3K・赤兔山まで6.7K」の道標を過ぎると、やがて右手に道標のある登山口に着く。ゆっくり歩いて30分ほどかかった。ここからいよいよ登山道に入る。暫く急坂が続く。小さな沢を渡る部分が少し怪しい以外はしっかりしている。道脇は多くのシダ類が占めている。
やがて杉林の中の緩やかな道へと変わる。オウレンが実を付けている。杉林を過ぎると、草やシダがうっそうと生い茂った道になる。所々にあるタニウツギのピンクの花が美しい。白いオオカメノキの花もインパクトがある。
緩やかな道は山腹を周りながら奥へと続いている。小さなアップダウンもあり、標高をほとんど稼いでいない。陽が当るにつれだんだんと暑くなってきた。小さな枯沢、涼しい風が吹き抜けていたので、ここで休憩を取る事にした。歩き始めて1時間少々経っている。少し先からは視界が一瞬開け、野伏岳が頭を覗かせている。
左側が谷といった道が続く。やがて下りになって、たんどう谷へと下りていく。「どうだろうか?」といった不安が頭を過る。
勢い良く流れているもののやはり水量は多くなかった。靴を脱がなくても渡れるのでほっとする。まず、私から足の裏全体で岩を掴むような感じで、フリクションを効かせながら片足ずつゆっくり慎重に渡る。どうにか私の足の長さでも対応できる幅である。(^^ゞ 次にみれさんが・・・「怖いかも〜!」「(・_・;? 岩も沢もやってて、ここに来てまでブリッコしなくてもいいのに!(苦笑)」なんて思いながら、仕方ないのでストックを手渡す。今さら女性らしい一面を見せようたってもう手遅れだ(笑) ここまで4K、ちょうど中間地点になる。やがて小さなナメ滝が現われる。冷たくて美味しい。
道は歩きやすい箇所と、歩き難い箇所がわりとはっきりしている。小さな沢(沢とは呼べない?)がいくつかあるのだが、その前後が岩があったり道が半分崩れていたりしていて荒れている。前にも書いたが、左側がずっと谷なので足を踏み外すと危険な箇所もある。草で見えなかったりするので注意が必要だ。道は長く緩やかなので、時間が掛かる割には高度を稼げない。わさび田を過ぎ、少し急になった道を登り切ると、赤兔山からしょうつ山へ続く稜線に乗る。崩れかけたベンチもあって休憩場所にちょうど良い。沢の音も聞こえなくなってほんとに静かだ。聞こえてくるのは小鳥の囀りだけ。緑に囲まれ、至福の一時を過す。みれさんが珍しくハットを被る。「どうしたん?」「紫外線が怖いのよね〜」「今さらもう・・」\(`o'")  よく見るとミレー!ズボンもミレーである。「どうしたん?2!」 最近、友達の影響でブランドに目覚めてきたらしい。ザックもミレー!(前からだけど) 私を「見れー!(ミレー)」ってか?(笑) ちなみにみれさんの「みれ」は、ミレーからとっている。「よく似合うよ!」と言ってあげるのは、男性が女性に対するマナーの一つである(笑) ・・しまむら品が可哀相な気もすのだが。。(爆) 一部崩れた鉄の階段のある急坂を登る。なかなかキツイ。道脇にはチゴユリが咲いている。木が素晴らしいブナに替わっていく。
急坂を20分程頑張り、ようやく赤兔山からの尾根に上る。「山頂まで2.7K」の道標があり、木の間からようやく山頂が見える。が、まだまだ遠そうだ。(--;)
青々とした緑の中を歩く。素晴らしい木々が出迎えてくれる。小さなアップダウンがあるが緩やかな上りだ。何度も足を止め、周囲の木々を見渡す。大自然の中に身を置く心地良さ、溶け込んでしまうような錯覚を覚える。素晴らしい! みれさんも、こういう所は大好きだと言う。(岩も沢も雪も好きだし・・何でもいいのだろう・笑) 道脇にはマイズルソウの群落や、ミツバオウレン、ツバメオモトも少し咲いている。
穏やかな風が吹き、陽射しを木の枝葉がカットしてくれるので涼しい。ただ、虫が多いのには参った。腕やら少し刺されたようだ。ま、季節柄仕方のない事だろう。疲れてきたのか・・私の左足が攣ってきてしまった。今年は忙しくてハードな山をほとんどしていない。明らかに筋力不足である。みれさんからクエンサンを分けてもらう。私が持っているクエンサンはクエン(食えん)ぐらい不味いが、最近のはとても口に入れやすくなっている。少し休んでゆっくりと登り始める。
ササや低木になってくると、ようやく山頂が目の前に現われる。しかし、これから最後の急坂が待っている。左足をかばっていたせいか、今度は右足が攣ってくる。最悪だ。しかしだ!私は今までだてにヘシコを数多く食べてきたわけではない!最後の最後にヘシコパワーというのを残してあるのだ!(←とうとうイカレてきた?・涙) 山頂からみれさんが微笑みながら手を振る。その微笑みに助けられたかどうかは定かではないが(笑)やっと山頂に辿り着く。ちょうど5時間かかってしまった。f(^-^;
白山
別山と三ノ峰
大長山
経ヶ岳
荒島岳
歩いてきた兔平の尾根
山頂では素晴らしい展望が待ってくれていた。目の前には白山、別山、三ノ峰・・ 白山の雪はだいぶ融けているようだ。大長山、経ヶ岳、荒島岳、銀杏峰等・・ この景色を見るのは久しぶりだ。山頂には小原林道から登ってくる人や、赤兔平から戻ってくる人が次々と来る。湿原の花はまだ早いのが分かっていたので、行かずにここで食事をする事にした。陽射しは当るのだが、風があるのであまり暑さを感じない。簡単なうどんやおにぎりで済ます。みれさんからは、東北限定のジャガリコなどのお菓子を頂く(笑) 目の前の男前の白山を眺めながら、いろいろな話をしているうちにすぐ1時になった。そろそろ下山しなければならない。最後に赤兔平の全景が見渡せる所まで行って写真を撮る。ちょうど右に少し入った所に、一株のコバイケイソウの花が風に揺れていた。山頂から鳩ヶ湯の方へ下りかけると、山頂にいた人が不思議そうな顔をして見ている。きっと私達が道を間違えてると思っているのだろう。
足はすっかり治り、快調に下りていく。が、やはり長く感じる道である。またたんどう谷の渡渉だが、みれさんが「コワイ!」と言って少し上流から渡れそうな場所を探す。ここより渡りやすい箇所があったようだ。「行きはヨイヨイ帰りはコワイ・・」 ちょっと違うか?(^^ゞ やっと林道に出る。ダラダラと話ながら下ってくると、正面に美しい三ノ峰の姿があった。4時55分に車に戻る。結局このコースでは誰とも会わなかった。いつものパターンだが、車に乗り込み急いで大野のコンビニへ向う。奢ってもらった今日のアイスとコーラは格別の味だった。(^^ゞ

やっと以前から思っていたコースが歩けて大満足だった。往復16Kのロングコースだが、素晴らしい自然美が溢れ・・静かな山旅ができる。ぜひ、今度は紅葉の時期に歩いてみたい。付き合ってくれたみれさんにも感謝である。
ミツバオウレン
フタリシズカ
チゴユリ
ユキザサ
ツクバネソウ
マイズルソウ
ツバメオモト
花は一部です
<休憩を含む行程時間>
林道口(6時56分) → 登山口(7時30分) → たんどう谷(8時50分) → ベンチのある広場(9時38分)
赤兔山まで2.7K(10時17分) → 山頂(11時58分〜13時13分) → たんどう谷(15時00分) → 林道口(16時54分)

<所在地>
福井県大野市  MAP
コバイケイソウ
赤兔平